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評価軸を共有し環境を整えることで、さまざまな疾病を予防できる。
人との接触が減ることで健康悪化のリスクが高まることを、なんとか抑えられないかといろいろな分析を行った結果、「インターネットが意外と使えるのではないか」ということが分かってきたと、近藤教授は説明します。
高齢者はインターネットを使っていないのではないかという意見がありますが、近藤教授たちが2019年から60超の市町村の約25000人にインターネットを使っているかどうかを聞いた結果、高齢者全体で約6割、前期高齢者だと73%、後期高齢者でも半分弱の人が月に数回インターネットやメールを使っていると答えています。
さらに、インターネットを使っていないと答えた人と、インターネットを使って家族や友人と交流していると答えた人を3年間追跡した結果、インターネットを使っている人では3年後の疾患発症リスクが低いことが分かりました。
インターネットで社会参加が促されるかという観点からの分析では、インターネット利用がなかったグループが3年後に月1回ボランティアの会に参加するようになった確率を1とすると、インターネット利用者では1.35倍、スポーツの会だと1.7倍、趣味の会だと1.5倍という結果が得られ、インターネットを利用することで、新たに社会とのつながりが生まれやすいということが確認できたそうです。
要支援・要介護リスク評価尺度を開発
近藤教授が携わってきた愛知老年学的評価研究(AGES)や日本老年学的評価研究(JAGES)の調査結果から、緑が多い街、歩きやすい街、人々が交流しやすい街、社会参加しやすい街が、0次予防にとって有効ということが分かってきたそうです。そういう街では、実際に医療・介護給付費などの社会的コストも抑えられています。
例えば、週1回以下しか外出しない人と、ほぼ毎日外出している人を比較してみると、5年間の介護費は最大7万円、スポーツ、趣味、ボランティアを含め週に1〜2回社会参加をしている人と、参加していない人を比較すると、6年間で11〜12万円低いという結果が得られたそうです。
DATA
大学名 千葉大学 予防医学センター
社会予防医学研究部門
近藤克則研究室設立日 2014年4月 所在地 千葉県千葉市稲毛区弥生町1-33
千葉大学 西千葉キャンパス
工学系総合研究棟I電話番号 043-290-3176 URL https://katsunorikondo.wixsite.com/labo