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CROSS TALK 1の議論を受けて展開したKASHIWANOHA DISCUSSION 1には、富士通株式会社 理事 ソーシャルデザイン事業本部 本部長の有山 俊朗さんと株式会社NTTデータ 第二公共事業本部 ヘルスケア事業部 第三統括部 健康ソリューション担当課長の湊 章枝さんが加わり、データ利活用の社会実装の取り組みについて議論しました。柏の葉で医療・健康の分野でプロジェクトに携わっている二人は、柏の葉をデータ利活用で世界一の街にしたいと語りました。
FUSION of benefit 理論の実装が切り拓く、未来社会。
落合 陽一氏 × 小島 武仁氏 × 有山 俊朗氏 × 湊 章枝氏
プラットフォームが整った柏の葉で、
行き着くところまでチャレンジしたい
医療・健康分野で進む柏の葉の社会実装の取り組み
KASHIWANOHA DISCUSSION 1では、柏の葉スマートシティを舞台に、データ活用で社会と個人のより良い未来をつくるにはどうしたら良いかを、CROSS TALK 1の内容を踏まえつつ議論を展開しました。
CROSS TALK 1 に登場した落合 陽一さん、小島 武仁さんに加え、実際に柏の葉でデータ利活用プロジェクトに携わっている、富士通株式会社 理事 ソーシャルデザイン事業本部 本部長の有山 俊朗さんと、株式会社NTTデータ 第二公共事業本部 ヘルスケア事業部 第三統括部 健康ソリューション担当課長の湊 章枝さんの二人が参加しました。
司会進行は、医療ジャーナリスト/キャスターの森 まどかさんが務めました。
まず富士通の有山さんが、自身の経歴と柏の葉での取り組みについてプレゼンテーションを行いました。有山さんはエンジニア出身で、新興国の課題解決やスーパーコンピュータ「富岳」の構築に携わった後、2020年7月に新設されたソーシャルデザイン事業本部で社会課題に取り組んでいます。柏の葉では、国立研究開発法人 国立がん研究センターと電子カルテの利活用に関して共同研究を開始しました。
有山さんは病院の電子カルテのデータは、薬を作る上で大変重要な宝の山だと言います。患者の同意を得た上で、信頼感を持ってデータを流通させることで、副作用が少なく、個人によりマッチした薬を作れるなど、いろんな利活用の可能性があるそうです。
続いてプレゼンテーションを行ったNTTデータの湊さんは、入社以来ずっと医療や介護の新規ビジネスを担当した後、保険会社や製薬企業と医療業界をつなぐ、業際ビジネスの創出に取り組んできました。
同社が推進している「Health Data Bank」事業は、企業の従業員健康管理を支援するクラウド型サービスとして2002年より運用を開始し、現在3000団体、400万人の利用者がいます。Health Data Bankは企業に代わって健診機関から健診結果を直接受領しますが、健診結果は健診機関ごとに項目も形式もバラバラです。それをHealth Data Bankで形式を変換統一化して、データベースに格納する作業を行っています。
ここで蓄積されている健診結果に基づいて、糖尿病など生活習慣病の6年以内の発症リスクを予測する機能をHealth Data Bankは実装しています。2021年9月からHealth Data Bankの疾病リスク予測が柏の葉データプラットフォームを通じて、「カロママプラス」という栄養指導サービスに連携し、柏の葉の住民は、疾病リスクに応じた栄養指導を受けられるようになりました。
今後は、柏の葉データプラットフォームでのいろいろなサービスから健康データを集め、それを他のサービスに連携する健康データ利活用ハブとして、健康領域、医療領域の異業種間連携を推進していく予定です。
DATA
登壇者名 落合 陽一 プロフィール ピクシーダストテクノロジーズCEO / 筑波大学准教授/筑波大学デジタルネイチャー開発研究センター センター長
筑波大学情報学群情報メディア創成学類、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。
筑波大学学長補佐・准教授・デジタルネイチャー推進戦略研究基盤長、大阪芸術大学客員教授、デジタルハリウッド大学客員教授を兼務。
次世代のコンピュータ技術を開発するピクシーダストテクノロジーズ株式会社のCEOも務める。登壇者名 小島 武仁 プロフィール 経済学者/東京大学大学院経済学研究科教授、マーケットデザインセンター・センター長
東京大学を卒業後、ハーバード、イェール、スタンフォードと最高学府に在籍。2012年に米スタンフォード大学でテニュア(終身在職権)獲得。東京大学に新設された「東京大学マーケットデザインセンター(UTMD)」センター長に就任。人と人、人とモノの最適な組み合わせを考える「マッチング理論」を研究している。登壇者名 有山 俊朗 プロフィール 富士通株式会社 理事 ソーシャルデザイン事業本部 本部長
富士通株式会社で、「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」をパーパスに掲げ、社会課題に取り組んでおり、先日、国立がん研究センターと電子カルテの利活用に関して共同研究の開始を発表した。登壇者名 湊 章枝 プロフィール 株式会社NTTデータ 第二公共事業本部 ヘルスケア事業部 第三統括部 健康ソリューション担当課長
株式会社NTTデータで、クラウド型健康管理ソリューション(Health Data Bank)事業を通じた「ヘルスケアデータと様々な業界・企業が保有するデータの融合による新規ビジネス創出」に取り組んでいる。