KASHIWANOHA DISCUSSION 1
FUSION of benefit 理論の実装が切り拓く、未来社会。

ルール作りの議論を市民レベルから活発にすべき

 続いて司会の森さんが有山さんにCROSS TALK1についての感想を聞きました。

 有山さんは落合さんがルール作りに言及したことに触れ、もっとみんなで議論することが必要だという見方を示しました。

「ルールはどうしても与えられるものという感覚が強いと思います。しかし、ルールそのものは社会のシステムを作る一つの側面です。もっとルールに対して話をする、一人ひとりが意見を言える、そういう事ができるといいなと思って聞いていました」

 小島さんの話については、経済活動で解決できないものに対して、どうアプローチしてマッチングを成立させるかが非常に大事だと考えていたため、腑に落ちたと有山さんは言います。

有山さんは、ルール作りにみんなが参加し、一人ひとりが意見を言える社会になればいいと語ります

 有山さんの話を受けて、小島さんはマーケットデザインの成功例として臓器移植のマッチングの例を挙げるとともに、今ある情報をもとに血液型や抗体がマッチする人を探して最適化しても、実際にそれが本当に適合するかどうかは、マッチをした後で確かめないといけないという問題があると語りました。そして、このような問題を解決するために何かできることはないか、という質問を投げかけました。

小島さんは、臓器移植のマッチングの例を挙げて、マッチした後に本当に適合するかどうかを確かめなければいけないという問題を解決する手段はないかという質問を投げかけました

 この質問に対して有山さんは、適合に影響するかしないかわからないたくさんのデータがあると思うので、まず機械学習的な相関をみた上でどこが影響しているかを確かめ、医学界の知見を持ってそれが影響因子だというところを理屈でしっかり解いたり、補完したりすることができるのではないかと答えました。

 それに近い例として有山さんは、創薬ベンチャーのペプチドリームとジョイントベンチャーを作って、COVID-19の特効薬をいち早く世に出すべく進めているプロジェクトについて語ってくれました。

 このプロジェクトでは、分子構造のマッチングをラフに行う段階でデジタルアニーラ(量子現象に着想を得たデジタル回路で、現在の汎用コンピュータでは解くことが難しい「組み合わせ最適化問題」を高速で解く新しい技術)を使い、まずザックリした解を出し、その後スーパーコンピュータを使ってロジカルなところで本当にその動きが合っていることを検証する、二段構えで実証をやっているそうです。

FUSION of benefitの大切さを日々実感

 森さんからCROSS TALK 1の感想について聞かれた湊さんは、テーマであるFUSION of benefitの大切さを本当に日々実感していると答えました。

 健康データが意味のある扱われ方をしていくためには、安心・安全に流通させる仕組みが絶対に必要ですが、仕組みさえあれば使ってくれるかというと、絶対そんなことはないと湊さんは断言します。

「健康データを提供したら、どんないいことがあるかがわからない限り、生活者は絶対健康データを提供しません。健康データを活用した、Fusion of benefitのモデルをどう作るかを、今健康データの利活用を検討しているいろいろな企業と議論をして創出しているところです」

湊さんはFusion of  benefit のモデルをどう作るかが課題だと指摘しました

 続いて森さんは落合さんに、ヘルスケア分野は落合さんも取り組まれていると思うが、NTTデータの事業を聞いてどのような感想を持ったか聞かせて欲しい、と質問しました。

 落合さんは、CROSS TALK 1の最後の方に出てきたようにウェアラブルなもの、人の情報を採り続けるようなものが今後10年20年増えていく、それを専門家や非専門家が活用していくにはどうすれば良いかに取り組んでいるのは知見の宝庫だと述べました。そして、次のような感想を湊さんに投げかけました。

「一番気になっているのはガバナンス的にとか、意思決定的にステークホルダーがたくさんいる時はやっぱり進めにくいじゃないですか。それをどうやってNTTデータさんが対応されているのか気になっています」

落合さんはステークホルダーがたくさんいるときに、ガバナンスや意思決定をどう進めているのかが気になると語りました

 医療の世界は新しいものをやろうとしながらもステークホルダーはたくさんいて、制度やルール、有識者の見解を、ものすごく意識をしながら仕事を進めていると湊さんは打ち明けます。

 今までは医療データも健康データも専門領域で使われていました。しかし、柏の葉を始めとしてこれから医療データや健康データを民間でどう使うのかということになった時、それに適したガバナンスのバランスの取り方を模索して行かなければならないと、湊さんは考えています。

イベントは終了いたしました。
たくさんのご参加ありがとうございました。

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