挑戦し能動的に行動する習慣を付け、
イノベーションを身近に

人間を起点に、社会との接点を重視してイノベーションを考える

 小島さんは、「昨年やってみて難しいと感じたのは、やっぱりいきなり何かにチャレンジしましょうと言われてもなかなか思いつかないことです。子供は何かやりたいことや、できるようになりたいことがある。ただ、大人だといきなり何かに挑戦しようと言われても難しかった」と振り返ります。

 その反省から、昔やって失敗したこと、あきらめてしまったこと、三日坊主で終わってしまったことは挑戦しやすいのではないかと考えて設定したのが、今年の「タイムマシン・チャレンジ」というテーマです。過去を思い出してもう1回やってみようという意味が込められており、3日坊主を克服する方法を伝授するワークショップやライブ配信を行いました。

過去を思い出してもう一度挑戦してみようという意味が込められた「タイムマシン・チャレンジ」というテーマに沿って、三日坊主を克服する方法を伝授するライブ配信などを行いました

 産総研柏センターの人間拡張研究は、人間を起点に考えるとともに、社会との接点を重視している点も特徴です。

 小島さんは、2011年東日本大震災の後に被災地支援の一環として気仙沼にインフラ自立型のトレーラーハウスを持って行って、実際にそれが災害支援拠点として使えるのか、コミュニティ支援として使えるのかを検証するため、そこで一年暮らすという経験をしました。

 それがきっかけで街づくりにかかわることになり、現在の「共創場デザイン」という仕事にもつながったと小島さんは振り返ります。

「ある意味で自分たちが住んでいた世界を、もう一度作り直す作業でした。復旧で元に戻すのではなく、自分たちが本当はこうしたかったというのを一緒に作っていくプロセスです。そのためにいろんな方の思いを調整して、共有して、より良いところを目指すという作業を、NPOの方や地元の市民の方と一緒にやっていました」

小島さんは東日本大震災後の気仙沼にインフラ自立型のトレーラーハウスを気仙沼に持込み、1年間暮らして実検証するプロジェクトに携わりました
トレーラーハウスに居住しながら自治会のコミュニティの支援を行ったりしている中で、小島さんはシステム工学の知識や知見を生かして問題を整理する、街づくりワークショップの開催を依頼されるようになりました

 気仙沼で街づくりに携わった経験から、街づくりは大上段に振りかぶってしまうと関係者を引き込めないと小島さんは感じています。みんなが求めているのは幸せに暮らしたいということなので、幸せに暮らしたいという時に、まずその幸せとは何かを考えることが重要だと言います。

 小島さんは幸せの一つのあり方は、やりたいことに挑戦できて、それで世界が変わった、自分が変わった、自分が挑戦することによって変化を生み出せたということを実感できることだと考えています。小島さんはヤッチャレを通じて最終的にはチャレンジすることが普通で、わざわざチャレンジという言葉を使わなくても良いくらいになって欲しいと望んでいます。

 ヤッチャレは産総研柏センターの人間拡張研究センター職員有志と市民が集まって始めたイベントです。しかし、柏の葉イノベーションフェスの連携イベントとして開催され、産総研人間拡張研究センターの研究戦略の一部としても位置づけられました。

 人間拡張研究センター 研究センター長の持丸正明さんは、「社会システムや組織は簡単に変われない。小さく始めて、何かここでうまくいったというのを、二の矢、三の矢を出して行くようなアクションができる街、コミュニティがいいと思います。ヤッチャレは何をやるかを各自が決めて、それができるように互いに応援し、チームとして応援する。それが世界一になるとかそういうことじゃないんです」と、ヤッチャレの意義を語ります。

 来年はもっと入り口のハードル低くしてより多くの人に参加してもらうとともに、奥深いところまでたどり着いてもらいたいと小島さんは考えています。

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