メッセンジャーRNA医薬品・ワクチンで世界初の統合型受託開発製造事業を展開する

 アルカリスが力を入れているのは、CMC(Chemistry Manufacturing and Control)開発と呼ばれる原薬と製剤の製造方法の開発研究や、品質を担保する分析技術の磨き上げです。これらの技術を担保するために、原薬と製剤の製造を行うインフラと人材に大きな投資を行います。会社設立にあたっての調達資金も大きく、ベンチャーと言えないぐらいのレベルに達しています。

 mRNAという医薬品の新しいカテゴリーは今後必ず大きく成長するだろうという予測のもとに、製薬企業も、ベンチャー企業もmRNA医薬品分野にどんどん進出してきています。mRNA医薬品・ワクチンの原薬と製剤の両方をワンストップでCMC開発、製造できる体制を世界に先んじて整え、これらの会社の委託ニーズにスピード感を持って応えることで、他のCDMOに対して優位に立てると河野さんたちは考えています。

「医薬品開発会社も製薬会社も、安心してCMC開発と製造を任せられるインフラが整っていないと困ります。アルカリスはリスクをとってインフラ投資をすることで、mRNA医薬品・ワクチンの受託開発事業で世界一になることを目指しています」

アルカリスは、親会社である米アークトゥルス・セラピューティクスの製造管理技術を導入し、原薬製造と製剤開発のリスクを低減する計画です

原薬と製剤の一貫製造を目指す

 アルカリスがmRNA医薬品・ワクチンの受託開発事業で世界一になるという目標のために行うインフラ投資が、福島県南相馬市原町地区での工場新設です。南相馬の工場では、まず原薬製造施設を2023年に立ち上げ、2025年中には製剤製造施設も稼働させる予定です。mRNA医薬品・ワクチンは新しい技術で、原薬と製剤の両方を一つの場所で製造できる企業はまだ無いそうです。

 この両方を1箇所で完結できることで、アルカリスのクライアントである製薬会社に大きなベネフィットをもたらすことできるといいます。従来は一方を米国で製造し、もう一方を日本で製造するなど、国をまたいだロジスティックスが必要な場合が多かったからです。

 河野さんはコロナパンデミック下のワクチン開発が、ワンストップで原薬と製剤の両方を製造するという事業コンセプトにつながったと説明してくれます。

「mRNAは、特にウイルスパンデミック感染症が発生した場合、ワクチン開発を早期に達成できるというところが強みです。実際コロナウイルスのワクチンは、約1年で緊急承認されて先進国に供給されたわけです。その強みを生かすためには、原薬と製剤の製造が同じCDMO企業の同じ事業所で達成できることが、顧客である製薬企業だけでなく公衆衛生にとって重要な利益につながると考えました」

アルカリスはCMC開発から製剤製造まで、ワンストップで対応できるCDMOを目指しています

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