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世界で一番成功したまち作りの事例になって欲しい
続いて森さんは有山さんと湊さんに、事業を展開するにあたって柏の葉に感じるメリットは何かと質問しました。
有山さんは、柏の葉には「未来の社会を作っていくんだ」という機運がある中で、公民学のいろいろなセクターが集積し、グローバルな視点でデータ活用を進めるべきだという思いを持っている方が集まっていることが、魅力的だと答えました。
湊さんも公民学がごく近くで連携できる距離にある意味は大きいと語ります。それ以上に湊さんがこの街に大きな魅力を感じているのは、柏の葉データプラットフォームがあることです。
「本人が同意してID連結をし、個人情報がいろんなサービスに繋がるプラットフォームを地域で持っていらっしゃることは、本当に魅力的だと思います」
森さんは最後に、今後この柏の葉において何を目指すのか、有山さんと湊さんに問いかけました。
有山さんは、「こういった街でデータを利活用して、生活者がどういう価値を享受できるかということを、行き着くところまでチャレンジしたい」と答えました。データが動き出したところで終わってしまうと一過性の実証になり、そこで止まってしまうからだと理由を説明し、世界で最も成功したスマートシティを一緒に作っていきたいと語りました。
「柏の葉は『未来の社会を』という熱を持った公民学が集積した街だと思いますので、生活者にとってデータを流通させる事の価値を作るところまで、いろんな企業の方、病院の方、公民学で取り組ませていただいて、世界で一番成功した街づくりの事例になって欲しいと思います」
湊さんは、今までの健康データは提供者視点で作られていて、いろいろなところに分散していたため使い勝手が悪いという問題があったことに触れ、生活者視点での健康データ管理を柏の葉で進歩させていきたいと語りました。
湊さんたちは今、「My Health Data Bank」という、個人が散在しているデータを全部自分の意思で集め、管理して、自分の意思でいろんな活用者に提供するという新しい取り組みに挑戦しているそうです。それができるのが柏の葉だと、湊さんは言います。
「柏の葉は完全に生活者起点でデータを活用し、より豊かな暮らしを作っていこうというコンセプトですべてが動いています。私たちも新しい試みである生活者視点での健康データ管理をどうやっていけばいいのか、柏の葉で実際にご利用いただいて、いろいろな声を聞きながら、どんどんバージョンアップしていければいいなと思っています」
DATA
登壇者名 落合 陽一 プロフィール ピクシーダストテクノロジーズCEO / 筑波大学准教授/筑波大学デジタルネイチャー開発研究センター センター長
筑波大学情報学群情報メディア創成学類、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。
筑波大学学長補佐・准教授・デジタルネイチャー推進戦略研究基盤長、大阪芸術大学客員教授、デジタルハリウッド大学客員教授を兼務。
次世代のコンピュータ技術を開発するピクシーダストテクノロジーズ株式会社のCEOも務める。登壇者名 小島 武仁 プロフィール 経済学者/東京大学大学院経済学研究科教授、マーケットデザインセンター・センター長
東京大学を卒業後、ハーバード、イェール、スタンフォードと最高学府に在籍。2012年に米スタンフォード大学でテニュア(終身在職権)獲得。東京大学に新設された「東京大学マーケットデザインセンター(UTMD)」センター長に就任。人と人、人とモノの最適な組み合わせを考える「マッチング理論」を研究している。登壇者名 有山 俊朗 プロフィール 富士通株式会社 理事 ソーシャルデザイン事業本部 本部長
富士通株式会社で、「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」をパーパスに掲げ、社会課題に取り組んでおり、先日、国立がん研究センターと電子カルテの利活用に関して共同研究の開始を発表した。登壇者名 湊 章枝 プロフィール 株式会社NTTデータ 第二公共事業本部 ヘルスケア事業部 第三統括部 健康ソリューション担当課長
株式会社NTTデータで、クラウド型健康管理ソリューション(Health Data Bank)事業を通じた「ヘルスケアデータと様々な業界・企業が保有するデータの融合による新規ビジネス創出」に取り組んでいる。