CROSS TALK 3
FUSION of ecosystem 環境問題を解決する、実感のデザイン。

前向きなマインドセットに変える必要がある

 司会の森さんはまずマクティアさんに、年間1900から2300万トンのプラスチックゴミが河川や海に流出していることに触れ、「日本は国民1人当たりのプラスチック包装容器の廃棄量が世界一なのでこの問題の当事者と言ってもいいが、生活者レベルではこの問題についての理解が届いていない印象を受ける。こうした現状についてどう考えているのか」と質問しました。

司会の森さんは、プラスチックゴミの海洋汚染の問題と、日本人の包装容器の排気量が世界一である点に触れ、日本人の理解が足りないのではないかとマクティアさんに問いかけました

 この質問に対してマクティアさんは、「廃棄したプラスチックが実際にどうなっているかが理解されていない点が問題だ」と答え、一人ひとりが勇気を持って行動を起こせるように、事例を紹介していく必要があると付け加えました。
 
 マクティアさんの答えを受けて森さんはさらに、「5年前10年前と比較するとテレビメディアや雑誌、新聞などを見ても環境のことが取り上げられ、情報発信されているケースが非常に多くなった。問題意識自体は確実に高くなっているのに、行動とのギャップがあるが、どういった原因があるのか」と質問しました。

 マクティアさんは、それはマインドセットの問題だと答えます。「何かを犠牲にして環境のためにやらなければいけないという義務感や、ネガティブな気持ちには人を動かす力はない。逆にこの方が魅力的で、こういう世界や社会に住みたいというポジティブな強い目標があれば、誰でも取り組めるのではないか」と、マクティアさんは言います。

ネットワーク効果により新しいコモンズが生まれている

 続いて森さんはマクティアさんにmymizuアプリを立ち上げたときに、どのように使ってもらうことを意図してデザインしたかを尋ねました。

 マイボトルを勧めるのであれば、給水できる場所を簡単に探せるようにしないとマイボトルを持ち運ぶ習慣が広まらないだろうと考え、「誰でも持っているスマホを通して、簡単に給水できる場所を探せる仕組みにした」とマクティアさんは説明します。

 給水できる場所は公共施設だけではなく、おしゃれなカフェやIKEAのような大手企業、田舎のそば屋さんのようなお店にも協力してもらっています。公共施設は一般のユーザーから投稿してもらい、お店は自ら登録してもらうような形になっており、全国で約1700のお店が登録しているそうです。

マクティアさんは、mymizu事業を開始するに当たり、給水できる場所を簡単に探せるようにしないとマイボトルを持ち運ぶ習慣が広まらないだろうと考えて、アプリをデザインしました

 もともとは環境問題に対して意識の高いお店からスタートし、「新しい人たちとつながる機会が生まれる、地域コミュニティに貢献したい、mymizuのステッカーが店頭に貼ってあるのを見て自分たちもやりたいと申し出たなど、さまざまな動機から参加するお店が増えて、街ごとに広まっている」とマクティアさんは話しました。

松島さんはmymizuによって新しいコモンズが生まれている点が素晴らしいと絶賛しました

 松島さんはmymizuの取り組みに対し、「ある種のネットワーク効果を使うことで利便性を感じてより多くの人が参加し、新しいコモンズ(共有資源)が生まれているのが素晴らしい」と感想を述べました。そして、特に素晴らしい点として、自分の中での街の地図が変わる可能性を挙げました。

「mymizuを使うことによって、自分の行動エリアの中で全然違う関係性とか、自分の中での地図の組み替えみたいなものができて、そこにすごいプラスの価値が生まれて、その関係性が面白いからさらに価値を作り出していると思いました」

イベントは終了いたしました。
たくさんのご参加ありがとうございました。

アーカイブ動画はこちら

MAGAZINE

柏の葉を中心に、このエリアには多種多彩な最先端のテクノロジーを開発し、
未来を担う企業や研究所が数多く存在する。

彼らのまなざしは、つねにその先の未来へと向けられている。

MORE
2020年のMAGAZINEはこちら

Join Us

街という大きなスケールで、実証・実験ができるスマートシティ、柏の葉。

ここでは、多彩な研究機関や大学、施設がさまざまなチャレンジをサポートする。

さぁ、柏の葉とともに、世界を、未来を、変えよう。

MORE