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テックカルチャーを軸足に、環境問題も積極的に取り上げている『WIRED』日本版 編集長の松島 倫明さん。mymizu事業を通してプラスチックゴミ削減という社会課題の解決に取り組んでいるマクティア・マリコさん。二人を迎えて「FUSION of ecosystem 環境問題を解決する、実感のデザイン。」をテーマに議論したCROSS TALK 3では、ネットワークを活用しながら新しいコモンズ(共有資源)を作っていくことや、意識的に生活の中にウェルビーイングを取り入れることの大切さを確認しました。
FUSION of ecosystem 環境問題を解決する、実感のデザイン。
松島 倫明氏 × マクティア・マリコ氏
ウェルビーイングな街を実現することが、
環境問題解決に繋がる
根本的なところから取り組まないと変わらない
「FUSION of ecosystem~環境問題を解決する、実感のデザイン。~」をテーマに議論を交わしたCROSS TALK 3には、『WIRED』日本版 編集長を務め、テックカルチャーのほか環境問題にも豊富な知見を持つ松島 倫明さんと、一般社団法人 Social Innovation Japan 代表理事・共同創設者 mymizu 共同創設者で環境問題に軸足を置き、ソーシャルイノベーションを実践しているマクティア・マリコさんが登壇しました。
二人は、医療ジャーナリスト/キャスターの森 まどかさん司会進行のもと、一人ひとりが環境問題にどう取り組んで行けば良いか、日本の社会はどう変わって行けば良いかについて議論しました。
最初に自身が実践している取り組みについて語ったのは、マクティアさんです。
マクティアさんはロンドンで生まれ育ち、新聞記者を経て駐日英国大使館でイノベーションやスタートアップを担当しました。その後独立してフリーランスとして社会的企業やスタートアップをサポートした後、一般社団法人Social Innovation Japanを設立。コミュニティ作りやコンサルティング事業を行っています。
2018年に行った旅行で綺麗なビーチがペットボトルなどの大量のゴミで汚染されていたことに衝撃を受けたマクティアさんは、世界各地約20万箇所の無料でマイボトルに無料で給水できる場所とユーザーをアプリで結びつけるmymizu事業を始めました。
mymizuは、マイボトルを持っていて給水したい人と、給水できる場所をつなぐプラットフォームです。アプリのマップ上に、公共施設だけでなく店舗でも無料で給水できる場所が表示されます。この事業の特徴は、給水できる場所を提供するのではなく、みんなに投稿してもらった給水できる場所の情報をシェアしている点です。
マクティアさんは「今の日本では、みなさんやっぱり喉が乾いたら自動販売機やコンビニがすぐそこにあるので、ついペットボトルの飲料を買ってしまいます。それが当たり前になっている社会なので、根本的なところから取り組まないといけないということで、mymizuというプラットフォームを立ち上げました」と説明しました。
テクノロジーが人間の未来をどう変えるのかを伝える
松島さんは、NHK出版でポピュラーサイエンス、小説、イノベーションに関するものまで幅広く書籍編集の仕事に携わった後、2018年6月から日本版『WIRED』の編集長を務めています。
『WIRED』は、もともと1993年にアメリカ西海岸で創刊されたメディアで、テクノロジーの進化が人間の社会や文明をどう変えるのかを伝えることを編集方針としています。
松島さんは本誌の発行のほか、会員制メンバーシップ制度の「WIRED SZ MEMBERSHIP」、22世紀を考えて現在にバックキャストする「サイファイプロトタイピング研究所」、クリエイティビティの発揮により新しい解決策を見いだしていく「CREATIVE HACK AWARD」など、幅広い事業を通して「未来がどうなるか」についての情報を発信していることを紹介しました。
DATA
登壇者名 松島 倫明 プロフィール 『WIRED』日本版 編集長
テックカルチャー・メディア『WIRED』日本版 編集長として「ニューエコノミー」「デジタル・ウェルビーイング」「ミラーワールド」などを特集。東京都出身、鎌倉在住。
1996年にNHK出版に入社、翻訳書の版権取得・編集・プロモーションなどを幅広く行う。2014年よりNHK出版放送・学芸図書編集部編集長。手がけたタイトルに、デジタル社会のパラダイムシフトを捉えたベストセラー『FREE』『SHARE』『MAKERS』や『限界費用ゼロ社会』など多数。
一方、世界的ベストセラー『BORN TO RUN 走るために生まれた』の邦訳版を手がけて自身もランナーとなり、今は鎌倉に移住し裏山のトレイルを走っている。
『脳を鍛えるには運動しかない!』『GO WILD 野生の体を取り戻せ!』『マインドフル・ワーク』『NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる』など身体性に根ざした一連のタイトルで、新しいライフスタイルを提示してきた。2018年6月より現職。登壇者名 マクティア・マリコ プロフィール 一般社団法人 Social Innovation Japan 代表理事・共同創設者 mymizu 共同創設者
マイボトルを持参すれば無料で給水できるスポットを簡単に検索できるアプリ『mymizu』をはじめとするサステナブルな取り組みが評価され、昨年11月にグッドライフアワードの環境大臣賞を受賞。
個人だけでなく国に対しても環境意識改革を呼びかけ、環境保護のムーブメントを牽引する。