CROSSTALK 4
FUSION of real and digital 挑戦を生む、クリエイティブな働き方と場。

グラデーションのある生き方がいい

 森さんが柏の葉の取り組みについて紹介した後、感想を求められた遠山さんは、「いろんなセクターが混ざり合っているところにリアリティを感じる」と語りました。

森さんは柏の葉スマートシティのデータ利活用の取り組みや、多様な働き方に応える、インキュベーションオフィス「KOIL」などを紹介しました

「アカデミアと、企業と、生活が混じっているようなところは、何かリアリティがあります。仕事に行くだけでなく、もうちょっと落ち着いて学問的な思考や生活の中で、何かちぐはぐになっていないかとか、家族とか何かそういうものが、システム主体じゃなくて人間主体の中でうまく絡んでいくような感じがあるといいんじゃないかと思います」

 サリーさんは、柏の葉には二つ特徴があり、その結果健全なイノベーションの場になっていると感じたと語ります。

 一つ目の特徴は、この街に元々大規模な企業があったり、オフィス街があったりしてこうなっているわけではなく、先に場所があってそこに目的と人がやってきて、ビジネスやイノベーションが起こっていること。そして、二つ目の大きな特徴はマンションも一緒に建てられていて、職住近接型のイノベーション拠点ということだと指摘します。

「そうすると、例えば生活している中で気付いた事、スーパーに行くときにこういうデバイスがあったら便利だけどなとか、こういう移動手段があったら便利だけどなとか、生活の部分で気付いた問題を、即ビジネスとしてこの街の中でプロトタイピングできます。つまりこの場所自体がその目的から出発して、ビジネスする場が継続的に生まれるという、健全なイノベーションの場になっていると感じました」

 森さんは議論の最後に「KASHIWANOHA INNOVATION FES 2021」のテーマである『READY FOR FUSION?』についてどんな思いを抱いたかをお二人に聞きました。

 遠山さんは、一本足打法じゃなくて、グラデーションのある生き方がいいと思っていて、それが5個とか10個あったら、数の分だけ社会資本関係が生まれる。そういうものを融合し、ビジョンを掲げて仲間を集めれば面白いものができる、と語ります。

「ビジネス的に言うとビジョンを持ち、いい仲間を集めていければできるので、そういうときに一つのトライブ(部族)だけじゃなくて、いろいろな部族との関わりがある方が面白いものができます」

 サリーさんは最近見に行った「プラスサイズコンテスト」という、グラマラスな体型の方が出るミスコンを例にとりながら、思いを語ってくれました。

 コンテストに出ている人たちが、これまでのミスコンのように「いかに男性受けするか」「いかにおしとやかにいるか」という用意された物差しの中で自分を高めるのではなく、「美とは何か」「自分らしさとは何か」という物差しの方を問うてみるためにここに出ているんだということを感じて、とても感動したと、サリーさんは言います。

「私にとってのFUSIONは、人の物差しを変えるために人にアプローチする事、若しくは誰かと遭遇する事によって、自分の持っていた物差しの目盛りが変わる事です。そんな考え方もあるんだとか、そういうベクトルは持ってなかったなと気付く事です。そのための準備運動をするのが、『READY FOR FUSION?』じゃないかなと思います」

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