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柏の葉には街づくりに使えるツールが既にそろっている
第1期まちづくりスタジオのテーマは、住民の声を見える化し、住民が何を課題だと考えているかを明らかにすることでした。高校生から仕事をリタイアした人まで、年齢も性別もさまざまな生活者が参加し、男女ほぼ均等だったそうです。2020年12月のスタートから、2021年6月の最終発表まで約7ヶ月間、参加者は毎週日曜日の夜に約2時間のオンラインミーティングを熱心に続けました。
まちづくりスタジオに参加したある女性は「みんなで話をして形にし、実際の場でトライしてみることが楽しかった」と振り返ります。また、別の女性は、「柏の葉の街づくりに関心があり、街づくりの活動を探していた。柏の葉の街づくりについてよくわかった」と打ち明けました。
20代の男性は、「これまで断片的に拾ってきた感情や知見が今回の発表やプロトタイピングを考える中で形になってきた。自分が成長でき、柏の葉に熱意のある人が集こんなにまっていることがわかり、かかわりを持てたことがうれしい」と総括しました。
ファシリテーターとしてまちづくりスタジオのミーティングに毎回必ず参加した佐藤さんは、「街づくりに興味を持っている生活者が多いことが改めて分かった」と振り返ります。さらに、実際に第1期みんなのまちづくりスタジオをやって見て、UDCKという公民学のハブが中心になっていることが、まちづくりスタジオを進める上で非常に大きな推進力になったことを確認できたそうです。
佐藤さんは、柏の葉の街を舞台にした実証プロジェクトを受け入れて一括して行う「イノベーションフィールド柏の葉」や、柏の葉の街に暮らし、働く生活者向けのデータプラットホーム「Dot to Dot」や「スマートライフパス」などのツールが整備されていることも、柏の葉のスマートシティを推進する上での大きな強みだと考えています。住民の方々の問題を解決するときに、それをどう使っていくかを考えることができるからです。
佐藤さんは、Dot to Dotのデータ管理の考え方を、土管を例に説明してくれます。
「Dot to Dot は言わば情報が通る土管のようなものです。企業にどんどん仲間になってもらって、仲間になった企業は仲間同士でそれぞれが持っているデータを、その土管を通じて安全にやりとりできます」
スマートライフパス柏の葉は、柏の葉の居住者を対象に個人に最適化されたさまざまなサービスを提供するポータルサイトです。提携サービス間のデータ連携に同意することで、一人ひとりに最適化されたさまざまなサービスを享受できるようになります。
みんなのまちづくりスタジオ、すなわち街づくりの実験室で住民の方々と一緒に考えたものを、「イノベーションフィールド柏の葉」に移し、実証実験を行うことも今後想定されると佐藤さんは話してくれました。現在は、今回編成した5チームからアプトプットされた、みんなの声を見える化するためのアイデアをどう実現するか、UDCKタウンマネジメントの内部で検討しているところです。
第1期まちづくりスタジオの反省点として、佐藤さんは「企業との連携が難しかった」点を挙げます。それを解決することが第2期以降のまちづくりスタジオの課題だと、佐藤さんたちは考えています。
「集合として考えると、住民ニーズという大きな円があって、企業や行政や学術機関のニーズと重なる部分があります。それを見つけ出して解決していくのが、究極のリビングラボ、つまり、『まちづくりスタジオ』です。企業や行政、学術機関からはどんどんニーズをもらいつつ、住民の方が自発的に参加してくださるような環境を整える、それがプラットフォーマーとしての我々の役目です」
DATA
会社名 一般社団法人UDCKタウンマネジメント 設立日 2019年1月 所在地 千葉県柏市若柴178番地4
柏の葉キャンパス148街区
ショップ&オフィス棟5電話番号 04-7137-2228 URL https://www.udcktm.or.jp/