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病院連携宿泊施設は市民に開かれた場所にしたい

 国立がん研究センターと三井不動産株式会社は、国立がん研究センター東病院の敷地内に病院連携宿泊施設「(仮称)柏の葉ホテル」を建設中で、2022年夏に開業を予定しています。

 このホテルでは、がん患者が付添の方と一緒に過ごせる広めの客室や、中長期滞在者のためのキッチンや家電を備えた客室も整備される予定です。そのほか、遠隔診療・在宅診療を目標に宿泊者の健康管理に繋がるセンシングデバイスなどの、実証フィールドとして活用することも計画されています。

 坂本さんは、「がんに対する知識が足りないゆえにがんを恐れたり、がん患者を遠ざけたりすることがない社会、当たり前のように互いに助け合い、理解しあえる世の中にしたい」と願っています。そのため、この宿泊連携施設ががん患者やその家族だけでなく、市民に開かれた場所になり、がんについての知識を得る場所になって欲しいと考えています。

 がんセンター東病院に通っていない人や、家族をがんセンター東病院で看取った方が病院に入るのは心理的に大きな負担があると、坂本さんは感じています。病院連携宿泊施設でそういう方々へのサポートを行えば、支援の幅を広げることができると期待しています。さらに、「がんと生きる」の番組収録も病院連携宿泊施設で行うことも計画しています。

 唐島さんも、病院連携宿泊施設での番組収録に期待を寄せています。

「音声コンテンツの良さは、手軽にいろんなところから情報発信ができる点です。普段はスタジオの中で収録していますが、ホテルができた暁には機会が許せば毎月そこで収録したものを、ホテルに来る人たちの声も交えながら発信してみたいですね」

 唐島さんはさらに、この場所を使ってサバイバーの就労支援に役立つような活動も企画してみたいと考えています。

「番組アンケートにも意見が寄せられていますが、がんが治る病気だよとなったときに、治療と仕事の両立、就労支援などの課題が出てきます。例えば、柏の葉で毎月公開放送ができるようになったとしたら、サバイバーの方に手伝っていただき、それが幾ばくかの収入になるというようなことも考えています」

ディレクターの金田恒夫さんも、がんサバイバーの一人。がん患者や家族の気持ちに寄り添う番組作りには適任のスタッフです

 坂本さんはさらに、宿泊連携施設をがん患者のための機器開発にも生かして行きたいと考えています。患者のための機器は利用者の声を十分反映せずに製品化され、患者にとって使いにくい、あるいは使うのに心理的な抵抗を感じるものがまだたくさんあるからです。

 「せっかくNEXT医療機器開発センターがあり、ベンチャー企業など柏の葉スマートシティの関係でつながりがあるこの場所で患者参加型の取り組みを進めたいということで、ミーティングを重ねています。ベンチャー企業との話し合いや、患者さんのニーズとのマッチングをホテルでやりたい。そうすることで、参加して来る患者さんの層も広がると考えています」

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